「道は開ける」という本の紹介②「今日一日の区切りで生きよ」

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気持ちの問題


「道は開ける」の一番最初に紹介されているのが、この「今日、一日の区切りで生きよ」です。この言葉は、今から数十年以上前にウィリアム・オスラー博士がエール大学の学生を前に講演した中で、学生向けたメッセージでした。

オスラー博士は、マギル大学、ペンシルベニア大学、ジョンズ・ホプキンス大学、オックスフォード大学の教授を務めた内科医です(wikipediaより)。

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本の一節を一部引用します

昨日の重荷に加えて、明日の重荷まで今日のうちに背負うとしたら、どんな強い人でもつまづいてしまうでしょう。

・・・・中略・・・・

エネルギーの消耗、心痛、神経衰弱は、未来のことを気づかう人に歩調を合わせて、つきまといます。・・・そこで、前と後ろの大防水壁をピタリと閉ざし、『今日、一日の区切りで生きる』習慣を身につけるように心がけるべきでしょう。

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「一日の区切りで生きる」

私が高校生の時、この言葉で不安神経症を脱出することができました。この神経症になった方はご賛同いただけると思いますが、普通の人では軽く流すようなレベルの「○○になったらどうしよう」という悪い想像が、通常の何倍も強い恐怖となって襲いかかってくるのです。それも、ちょっとしたきっかけで、です。

私の場合は、自分が狂ってしまい、自分が自分でなくなってしまったらどうしよう、というものでした。恐怖に支配され、強い胸騒ぎに圧倒されるこの感覚は、なった人にしか分からないかもしれません。焦れば焦るほどループから抜け出せなくなります。私は精神科のカウンセリングを受け、精神安定剤を飲む日々が続きました。「このまま治らなかったら、本当にどうしよう。」と悩む日が続いたのです。

そこで出会ったのが、「道は開ける」であり、ウィリアム・オスラー博士の「今日一日の区切りで生きよ」だったのです。もう少し正確に言うと、クレア・ウィークス女史の著「不安のメカニズム」も神経症脱出の大きな原動力になっていたのですが・・・・・。
それ以来私は「この調子で明日も、明後日も、1ヶ月後も同じことが続くのか?」という発想を止め、とにかく「今日を耐え抜くことだけを考えてがんばろう」ということを続けるようになったのです。2年の歳月がかかったものの、不安神経症を根治することができたのです。結果、悩みがなくなったわけではないですが、今はかなりストレスフルな状況に置かれても、深刻さに頭を抱えることはかなり少なくなりました。

自分がウソをついてしまったことで、明日どうなるか分からない不安を抱えている方も、おそらく似たような状況に陥っていると思います。社会人になってからの私の悩みは、まさに自分のウソで苦しんでいた日々でした。だけど、自分を責めるのは、十分しているはずです。短い一瞬でもいいので、明日起きるであろういやなことを思い煩う脳みそのスイッチをいったん切ることが大事だと思います。それが今はたとえ難しくても、チャレンジする価値はきっとあります。それは決して、明日以降の準備をするな、という意味ではありません。いったん冷静さを取り戻すことで、自分の足元をしっかりさせる、ということです。今をしっかり生きることが、未来をいい方向に変えるきっかけになると言い換えてもいいかもしれません。

一瞬でもいいから悩まない時間を作ることがもしもできたなら、だんだんとその時間を長くしていきましょう。虚言癖を生じさせている原因の一つに、怖れの気持ちがあると思います。いったん冷静になることができたら、しめたものです。もちろん、この心構えですべてが解決する、などというつもりは毛頭ありません・・・・が、悩まなくていい時間を1分でも2分でも作ることで、次へのステップを切り開くことができるかもしれないのです。今抱えている混乱を脱出するのは、怖れの気持ちの真っ最中よりは、冷静になった時からの方がいいはずです。

落ち着いてくれば、自分の行動も、客観視できるようになってきます。だから、今日の重みだけでなく、明日の重み、そしてそれ以降の重みを今同時に背負うのは一瞬でもいいのでやめてみましょう。今持っている今日の重みだけに集中して、今日を、今というこの時を精一杯味わおうではありませんか。