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哀しいことに、残念ながら、 今の先生の顧問料を下げることは得策ではありません。
しかし今の税理士の顧問料を下げると税理士のモチベーションも下がってしまいます。
今まで良好だった関係もギクシャクしてしまうかもしれません。
えっ?
「どうせ今までだって良い関係だったわけではない。特に良いアドバイスがあるわけではないし、月次も遅い。税務調査の時だってなんとなく頼りなかった。」
ですって?
それなら思い切って税理士変更を検討してはいかがでしょうか?
顧問料の正体は「税理士サイドの事情」
そもそも顧問料ってどうやって決まるんでしょう?
「アドバイスが年に3回 + 電話○○回 + 記帳○○件 = ?」というように「サービスの対価」という考え方もあります。
もちろんこれらの相場を全く無視することはできないでしょう。
しかし、ぶっちゃけ顧問料は「税理士サイドの事情」で決まっているというケースも多いのかもしれません。
- 1.自分の会計事務所を客単価平均いくらで、どのくらいの利益率で、経営していくか?
- 2.スタッフを何人雇い、給料をいくら払っているか?
- 3.やりたい仕事か?(業種等)
- 4.誰の紹介か?
- これらの事情を照らし合わせ税理士は顧問料を提示します。
したがって同じサービスでも異なる顧問料になったりするわけです。
まぁ基本的には需給関係なので、人気のある税理士は自分の設定した顧問料を押し通せる可能性は高いということになります。
さて、実際に御社が税理士変更を検討する場合、1~3は相手のある交渉なのでしょうがないとして、果たして4は許せるでしょうか?
例えば取引先と世間話ついでに今の税理士への愚痴を言ったとします。すると「じゃあウチの税理士紹介するよ」と言われ、税理士と会うことに。
その時税理士がこう考えたとしたら・・・
「大事な取引先(あるいは金融機関)からの紹介で、うちとしか交渉していない。きっと仲介者の手前あまり非常識なディスカウントもしてこないだろう。」
そしてこの交渉時のチャネルが長きにわたる顧問料を決めてしまうとしたら?
顧問料と食い放題
- 上記のような交渉時の巡り会わせの他に顧問料という概念の曖昧さも税理士報酬をわかりにくくしています。
タイムチャージという欧米でよく採用されている方法と比較するとわかりやすいのですが、タイムチャージの請求は作業に要した人員のレベル、作業の内容、時間数で積算されます。
一方顧問料は作業がある月も無い月も「だいたいこのぐらいだろう」という定額料金です。
作業が無くても一定額をとられてしまう一方、どんなに仕事や調査をしてもらった月でも高額な請求をされない安心感があり、日本では主流です。
税理士サイドからすると、最初は、まるで一人一人の客と食い放題の値段設定をしているかのような交渉になります。
「このお客はどのくらい食べるだろう?」
「痩せているから1000円で大丈夫かな」
「きっと金持ちだな。5000円ってふっかけてやろう」と、足が出ないように考えます。
そうやって店(会計事務所)全体では利益がでるように経営できるようになると「うちの店は基本2時間食べ放題3000円にしよう!」という会計事務所のおおよその値付けパターンが決まってくるのです。
それが顧問料の高い税理士、安い税理士の差になってきます。
顧問料の内訳と会計事務所のコスト
- 食い放題の値付けの要素には食材のような仕入れを要するコストもありますが、会計事務所のコストの大半は人件費です。
これも顧問料をわかりにくくしています。なぜならほとんどの会計事務所は百人以下の小規模事業者で「作業がひとつ増えると人件費が1000円増える」というような厳密な因果関係では無いからです。
しかも人間がやることなので「若くて優秀なスタッフで仕事が早い」「みんなパソコンが苦手」「頑張れば何とかなる」等、台所事情も異なり、顧問料に対して想定できるコストを明確に算出できません。
要するに顧客毎の作業量もそれに要するコストも個別性が強すぎて「顧問料の内訳は何?」という質問に税理士が明確に答えるのは難しいのです。
税務調査と安心料
- さて、少し視点を変えて「本当に税理士との顧問契約は必要か?」という問いについて考えてみます。
仮に自社内で仕訳や決算申告書づくりができるとします。申告書には別に税理士の印鑑が必ず必要というわけではないので、申告・納税まで何の問題もありません。
そうやって税理士と契約せず(=税理士顧問料が発生せず)社内でやっていった場合、「ああ税理士顧問料を払ってでも税理士と契約しておけば良かった」と感じるのは多分税務調査時ではないでしょうか?
例えばある仕訳を「これは福利厚生費」と仕訳けるのは簡単です。
しかし税務調査の時、「これは福利厚生費として認められない」と迫る調査官に、論理的に福利厚生費であることを抗弁するのは素人にはなかなか難しいことです。
余程優秀な経理担当者(税理士有資格者レベル)が社内にいない限り、多くの場合調査官のいいなりにならざるを得ないでしょう。
ならば(普段税理士顧問料を支払うのは嫌なので)税務調査の時だけ委託すればと考えるかもしれませんが、多くの税理士はこの依頼を受けません。
なぜならば自身が目を通してない仕訳・処理に責任を持てないからです。
仮に税理士顧問契約をしていなくても税務調査時のみスポットで依頼を受けたとしても(税理士としての)自分の印鑑を押していない決算書には責任が無いので小手先の対応しかできません。
税理士顧問料を払わなくても仕訳はできますが、その仕訳には「税務上問題が無い」という裏付けがありません。
税理士が目を通せば絶対に大丈夫というわけではありませんが、少なくとも専門家が認めた安心感はあります。
そういう意味では税理士顧問料は税務調査時の安心料という側面もあります。
税理士顧問料はムダ金ではない
- 税理士顧問料は大半の中小企業にとってムダ金ではありません。
仕訳をできる人が社内にいない企業はもちろん、いたとしても非効率だったり、不正確だったり。また、全て自経化(社内で主な経理業務を遂行できること)できても税務調査に対応できるレベルでしょうか?
今月何もしていないのに顧問料をなぜ払わなきゃならない?大量の仕事をしてもらった月もあるのですから。
税理士顧問料は決してムダ金ではありません。あくまでも今の税理士に「満足している」ならの話ですが・・・
「満足している」なら顧問料も税理士も変えるべきではない?
- 今の税理士に満足していますか?もし満足しているのなら、あまり迂闊に顧問料交渉をすべきではないかもしれません。
もちろんそれが経営を圧迫するようなら真剣に減額交渉をすべきでしょう。
しかし、「下げられるものは1円でも下げる」というような発想で月額顧問料を数千円減額するのはあまりオススメできません。
たった数千円でも、いや、たった数千円だからこそ、減額によって税理士のモチベーションはガクッと下がります。
減額 = 「今までのサービスに対するマイナス評価」
ということになりますのでそれは当然です。
それでミスが増えるということは無いでしょうが、もし今まで折に触れ良いアドバイスをしてくれたり、要人を紹介してくれているのであればここはグッと我慢かもしれません。
もし「満足していない」なら「グッと我慢」の時代じゃない
しかし、もしあなたが今の税理士に満足していないなら、最早「グッと我慢」の時代じゃありません。
一昔前までは税理士を比べる方法も習慣もなく、一度契約した税理士を解約するのは離婚ぐらいの決意が必要でした。
そこでストレス発散に、寄合で呑めばみんな税理士の悪口・・・・・・・「なんで金払ってるのにこんな思いしてるんだろ」そんな時代でした。
しかし今やインターネット時代。看板や電話帳ではわからない、税理士の情報が簡単に入手できてしまう時代です。
オマケに税理士紹介会社みたいな便利なものもあって、顧問料の相談に乗ってくれるし、何人でも税理士を紹介してくれます。
えっ
「税理士変更して失敗したらどうしよう」
ですって?
そしたらまた変えれば良いのです。
そういう時代です。
しかし、くれぐれも、再度、ご忠告します。
今の税理士に満足しているなら少しぐらいの顧問料減額のために変えるべきではありません。
しかし、もし今の税理士に「満足していない」なら、
税理士を変更しない理由はどこにもない。
と思いませんか?
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